労働週52時間+月収1割減? 韓国版「働き方改革」開始

労働週52時間+月収1割減? 韓国版「働き方改革」開始

韓国で1日から労働時間の上限を残業時間を含め週52時間に短縮することを柱とした改正勤労基準法が施行される。韓国版「働き方改革」といえ、日本と同じく働き過ぎの改善とともに、文在寅(ムン・ジェイン)政権は1人当たりの労働時間短縮で新たな雇用創出を狙うが、さまざまな問題点も指摘されている。

改正法で、週40時間の法定労働時間に残業時間を加え、週68時間まで認められてきた上限が大幅に短縮され、週12時間を超える残業が禁じられる。違反した事業主は2年以下の懲役か2千万ウォン(約200万円)以下の罰金が科される。施行から半年間は試行期間とし、罰則が猶予される。1日には、従業員300人以上の企業などに適用され、2021年までに中小企業にも順次拡大される。

年間労働時間が平均2千時間を超える世界的にも最悪レベルの状況を改め、余暇の増加など生活の質を向上させ、「夕方のある暮らし」を実現するのが目標だ。文大統領は若者の失業率が約1割に上るという雇用問題の解決を重要公約に掲げており、労働時間の短縮に伴い従業員を新規採用した企業には、支援金を支払う政策も打ち出した。

一方で、新制度で労働者の平均月収が1割以上減るとの試算もあり、消費減退による景気への影響が危惧されている。日本で6月29日に成立した働き方改革関連法では、残業の上限を原則月45時間とするが、繁忙期には100時間未満まで認めるのと比べ、柔軟性に欠けるとの指摘もある。

適用を除外される業種も26種から陸上・水上・航空運送業など5種に絞られた。これまで除外対象だった路線バスの運転手にも来年から適用されることになり、地方の路線では、給与減に加え、運行本数の減少を招く懸念もある。

就職難にある若者は、既に労働時間の短縮に対応している大企業への就職を望む傾向が強く、中小企業の求人難を深刻化させるだけだとの見方もある。しわ寄せを食うのは、中小企業で「夕方はあるが、夕食がない」暮らしが待っているとの揶揄(やゆ)も出ている。